
幾何学的で、モード感を感じさせるこのチェアは、空間の中に力強くそして美しいオブジェのように佇みます。たった1脚の椅子が、空間のクオリティにいかに作用するか、そんなことを改めて感じさせてくれるのです。
デンマークデザインといえば、アルネ・ヤコブセンやハンス・ウェグナーのデザインに代表される黄金期のデザインがイメージの大半を占める日本では、彼らのデザインを見てデンマークらしくないと感じる人もいるかも知れません。
彼らの代表作の1つである、LA PIPEチェアは、フレンズ&ファウンダーズのオーナーの一人でありデザイナーでもある、イーダー・リニア・ヒルデブランドが手掛けたもの。元々は曲木の椅子を考案するところから始まったという話を聞くと、力強さの中にも流れるような曲線をいかしたシルエットが印象的なデザインに仕上がっているのにもうなずけます。
360度どの角度から見てもその曲線が様々な美しい表情を見せ、あくまで、シンプルさは失わないデザインです。
そのシルエットから生まれる椅子として人間の様々な座り方に快適さを提供します。彼らのデザインを見ながらふと出てくるキーワードは、あくまでデンマークらしいものばかり。造形のアウトプットは違えども、アイデンテティは受け継がれ、そして進化しつづけている、黄金期のデザインから、その一歩先の良質な潮流を作り出そうとしている。近年デンマークではそのようなことを感じるブランドに出会うことが増えてくるようになってきました。
フレンズ&ファウンダーズは間違いなく、その筆頭格の一つであり、是非そのコンテンポラリーで新たな北欧デザインに触れてもらいたいと思うのです。
デザイナーであり、建築家のスウェーデン人、イーダ・リネアと夫であるデンマーク人のラスムス・ヒルブラウンが2013年にデンマークで立ち上げたブランド“フレンズ&ファウンダーズ”。ジオメトリックなデザインは、新しい北欧デザインの潮流として評価が高く、2018年に開催された北欧最大の家具見本市STOCKHOLM FURNITURE FAIRでも大きな注目を集めた。
